Devil/stay night用語辞典(悪魔編)


※本作に出てきた悪魔を、エンターブレイン『DMC解体新書』のキャラクター説明文からの引用などを用いて、ダンテ視点で独自に解説します。









 子供の頃にベッドの下やクローゼットの中に潜んでるって言われてた闇のモンスター、それが悪魔だ。人間である以上、闇を恐れるのと同じように悪魔を恐れる。見るのも知るのも耐えられないくらいにな。
 だが、あんたらはもうこっちの世界に来ちまった。こうなった以上、やる事は一つしかないぜ。
 おっと、慌てんなよ。Slow Down Babe? 悪魔と言ってもピンキリだ。裏の世界に住む魔術師達の間でさえ詳しくは知られていない悪魔どもの性質、弱点を、この俺デビルハンター・ダンテが教えてやるぜ。




・マリオネット
 まずは悪魔の中でも一番ポピュラーなコイツらだ。あんたらも、もう何度か眼にしてるよな。
 魔界と人界の次元の壁ってヤツは言ってみれば大雑把な網みたいなもんだ。この<世界>も馬鹿じゃない、抑止力の及ばない魔界からのイレギュラーはきっちりと締め出してるのさ。高等な悪魔どもはその力が災いして、よほどの好条件が揃わないとこっちの世界に出て来れない。
 逆に低級な魔物ならその網の目をくぐれちまう。力が脆弱なせいか<世界>の抑止力にも感知されづらい。だが、そうなると今度は力が弱すぎてこっちじゃ肉体の維持さえ出来ないザコも出てくる。そんな情けない奴らがこの世に在るモノを受け皿にして活動している下っ端の中で、主に人形を依り代にしているヤツをこう呼ぶんだ。
 人の形をした代物は霊的なモノを集めやすい。あんたらの住む日本でも心当たりのあるモンだろ?
 悪魔の憑依した人形はもう別物だ。姿形も変わり、完全に『この世のもの』じゃなくなる。破壊された後は灰すら残さない。悪魔どもの正体が未だに闇に隠れちまうのは、こうやって痕跡を全く残さないからだ。
 だが所詮元は人形だ。ちょいと手荒く扱ってやればすぐにぶっ壊せるし、依り代さえなくなれば中身も割れた風船のガスと同じように消え失せちまう。
 ただ、雑魚でも悪魔は悪魔だ。基礎魔力は人間の比じゃない上に、自我の薄い下級悪魔どもは虫と同じでアホのように群れやがる。数こそがコイツらの最大の脅威、油断は禁物ってワケだ。



・シン=サイズ
 分かりやすといえば、一番分かりやすい姿をしてる悪魔だ。見た目は死神そのもので、実体が無いかのようにフワフワと空中を彷徨い、壁や地面も素通りしちまう。
 古来より人間が<死>のイメージとして抱いてきた<死神>の姿を取っているだけに、その恐怖と絶望の信仰を受けたコイツはちょいとばかり上等な悪魔だ。
 コイツらの本体は仮面だ。やはり物質の媒介なしにはこの世界に留まれない低級な奴らだが、マリオネットとは違って霊体を半分だけ実体化させる事で物理的な干渉を素通りさせちまう。もちろん銃や剣も同じだ。それでいて唯一実体化している武器の大鎌は魔力を集中させている為か馬鹿げた強度を誇った攻防一体のシロモノになってやがる。正面からじゃ、容易く防御されるぜ。
 仮面ってヤツは人の思念を集める。人の恐怖の思念を受け続けた仮面は恐怖を糧にする悪魔にとって格好の媒介であり、増幅器みたいな役割を持っちまうってワケだ。
 さあ、ここまで説明すればこの死神もどきを叩きのめす方法はわかったな? そう、本体である仮面に思いっきり強力な一撃をぶち込んでやるのさ。



・ブレイド
 魔帝ってヤツは自分が創造主か何かのように勘違いしてやがるようだぜ。この爬虫類がうっかり人間に進化しちまったようなトカゲ人間どもは、どうやら人界を制圧する戦力として魔帝がわざわざ造り出した兵士らしい。この世のものじゃない生身の体を持った悪魔だ。
 その凶暴性と身体能力だけは野生の獣も真っ青なモンだが、あいにくコイツらはおつむも並以下だ。冷静に対処すれば、バカ正直に突っ込んでくる攻撃は欠伸が出るほど単調なもんさ。だが、その欠点を克服する為かコイツらは大抵三体の群れで行動しやがる。腕に覚えがなきゃ、数の不利だけは注意した方がいいぜ。
 こっちの世界に適応した体をあらかじめ持って生み出されたブレイドどもは、生来の悪魔とは根本からして違う。戦うために必要な身体能力と本能だけを兼ね備えた、本当の意味での魔帝の操り人形ってワケだ。
 殺戮と恐怖を好む悪魔どもは胸糞の悪い存在だが、感情すら持たないコイツらはある意味哀れな存在だぜ。



・シャドウ
 暗がりでヤバイ気配を感じたなら、きっと気のせいなんかじゃないぜ。アンタが悪魔狩人じゃないなら、振り返ったりしないで一目散に逃げる事をオススメする。何故なら、その暗闇こそが人間の恐怖や不安を具現化させた悪魔そのものだからさ。
『人間が闇を恐れる』って起源は元々はコイツにあると言われている。その通り、この悪魔の歴史は恐ろしく古い。何よりそれが種族や種類ではなく、コイツ一個体の歴史ってところが曲者だ。時間を重ねた生物や物質は、ただそれだけで力を蓄積する。
 この生きている影みたいな悪魔は、大昔から戦いの中で力と経験を蓄えてきた戦闘機械のようなヤツだ。あるいはコイツは全ての悪魔の原点となる恐怖の<現象>なのかもしれない。
 とにかく悪魔としての格も所持する魔力量も半端じゃないほど強力だ。本体であるコアを実体のある影で包み、強力な呪文でくくって、敏捷な獣の姿をベースに自在に形態を変化させてくる。剣や弓という武器が主流だった時代で人間と死闘を繰り返した為か、この影のボディにはそれらの攻撃のパターンが記憶されていて完璧に防御されちまうのさ。
 だが、さすがに急激な発展を遂げた現代の武器にはまだ対応し切れてないらしい。コイツの記憶にない銃でダメージを与えて、本体を暴き出すのが有効な手段だ。






 これまで紹介してきた悪魔は程度の差はあれど、まあ悪魔狩人にとってはまだ常識的な奴らだ。人間にも肌の黒い奴や白い奴がいるように、悪魔の種類について全て紹介していたらキリがない。残りはまた今度、図鑑片手に講義してやるぜ。
 ここから先で紹介する奴ははっきり言ってかなりヤバイ。俺の知る中でも最上級の部類に入る強力な悪魔であり、コイツらに対してはもう人間としての常識を当てはめる方が間違ってる。
 もし出会っちまったら、持ち得る力の全てを駆使して逃げる事をオススメするね。それでも駄目な場合は、しょうがないさ。頼りになる神様にでも祈ってくれ。




・ファントム
 上級悪魔ってのは単体の存在である場合が多い。そもそも自らの種を存続させる可能性を上げる為に数を増やし、それらを総合して『種族』と呼ぶわけだが、存在の<格>が全てを決める魔界において本当に強力な悪魔には数なんて必要ないからだ。
 そういう意味では、このファントムという悪魔は少々特殊だ。<ファントム>という呼称は種族であり、同時にこの悪魔個体を示している。
 こいつは蜘蛛に酷似した姿を取っているが、その生態も蜘蛛そのものとそっくりだ。元々は何万という子グモの中から過酷な環境を生き抜き、時を経て力を得た一匹がコイツみたいな上級悪魔へと成長する。例え凶悪な毒蜘蛛でも子グモのうちは容赦なく命を奪われていく、生存競争の仕組みってやつは魔界でも同じだな。
 だが、少なくとも生まれた状態からすでに人界に実体化できるほど、地位の高い悪魔の血統だ。何百、何千という時を経た子グモがどれ程強力な悪魔になるかは想像に難くない。そして、その悪夢の具現がまさにこの<ファントム>と言うわけだ。
 呼称についてはさっきも言った通り種族全体も含めたものだが、<ファントム>という名を代表して示されるのは、かの魔帝ムンドゥスの腹心の一人でもある、おそらくこの種族でも最強の一匹の事だろう。
 戦車も押し潰しちまうような巨体に、マグマの血と炎の魔力を備え、おまけに見かけによらず知能もかなり高い。長い年月を経て力を蓄えた肉体は硬い外骨格で覆われていて、その防御は魔剣の刃すら通さない化物だ。人間と違って、悪魔ってのは年を食えば食うほど強力になってくってんだから厄介なモンだぜ。
 さすがの俺でも手に余るような化物だが、俺が魔界を封じる為に訪れたマレット島で死闘の末にきっちりとトドメを刺して地獄に送り返してやった。
 だがコイツが種族である以上、今後第二、第三のファントムが現れないとも限らない。まだ見ぬソイツが俺の出会ったファントムと同じようにやたらと執念深く、ペラペラと喧しいお喋り野郎かどうかはわからないが、どちらにしろあまりゾッとしない話ってのは確かだぜ。



・グリフォン

 名前はギリシャ神話に出てくる魔獣グリフォンから取ってるが、見た目はそれこそ異常に育っちまったスズメだ。
 雷を操る能力を持った上級悪魔で、ファントムと同じく魔帝の腹心だ。おそらくコイツも長い時間を生きた大悪魔なんだろう、よく喋るし根性も据わってやがる。何より魔帝に対する忠誠心は好き勝手生きてる悪魔の中にあって珍しいほど高い。ある意味人間臭い奴だ。
 単純な魔力量だけならファントム以上で、その翼の羽ばたき一つにすら強力な魔力が込められている。空中から雷撃を無差別に落とす姿はまるで爆撃機そのものだ。
 コイツともマレット島で戦ったが、これほど強力な悪魔でも結局最後は魔帝にあっさり切り捨てられ、滅ぼされちまった。この辺りから魔帝の強大な力と、その胸糞悪くなる汚いやり口がわかると思うぜ。
 だが確かに消滅しはしたが、このグリフォンがもう二度と現れないとは断言できない。悪魔という存在が人が闇を恐れる心から生まれているというなら、悪魔がこの世からいなくなる事なんて永遠にありえないんだからな。



・ネロ=アンジェロ
 コイツに関して俺から話せる事は少ない。一つ言える事は、コイツが前記した上級悪魔と同じ、かつて魔帝の腹心の一人だったという事と負けず劣らず強力な悪魔だって事だ。
 身の丈ほどもあるむやみにデカい剣を振り回すその太刀筋は、まるで俺の剣技そのもの、つまり俺の親父・魔剣士スパーダと同じ流儀を、この黒い剣士は見につけている事になる。
 今回、アサシンのサーヴァントとしてコイツが聖杯戦争に召還された事が一体どういう意味を持つのか、俺にはまだ分からないが、ハッキリしている事はコイツの敵は間違いなく俺で、同時に俺の敵はコイツだという事だ。



・ゴーマーパイル(微笑みデブ)
 前にも言った通り、悪魔の種類は数多いし俺も全てを把握してるわけじゃない。まだ見ぬ強力な悪魔もいるだろう。コイツがまさにそれだ。
 ふざけた名前だが、コイツの正体についてははっきり言って俺もお手上げだ。上級の悪魔である事はわかるが、まるで全貌が掴めない。ただ、聖杯戦争の裏で暗躍しているこの悪魔が今回の異常事態に関する何らかの鍵を持っている可能性は高いぜ。
 第一、正体や能力云々は置いてこういうタイプは俺も気に入らないぜ。俺は俺よりもお喋りな野郎は嫌いなんだ。何よりピエロって奴にいい思い出がない。もし戦いで出会う事があったら、その不味そうな肥満体を油で揚げてやるから覚悟しとけよ。









 今日のお勉強はここまでだ。悪魔どもの知識、しっかり頭に叩き込んだかい? そしてコイツらの大将も忘れちゃいけないぜ、クソッタレの魔帝ムンドゥスを含む俺達の敵だ。
 ここまでで紹介したのは悪魔どもの中でもほんのごく一部だ。悪魔はまだまだ他にもいる。だが、そいつら全てを知る事は重要な事じゃない。悪魔と対峙する上で本当に大切なのは、奴らに抱く恐怖に押し潰されない心を持つ事だ。
 古来より人間の魂に染み付いた悪魔への恐怖は、そう簡単に拭えるもんじゃない。奴らは強力で残忍で、人間の天敵みたいなもんだ。だが忘れちゃいけないぜ、人間はソイツに打ち勝つ事も出来るってな。
 さあて、そろそろ勉強会にも飽きてきたぜ。喋るのは嫌いじゃないが、説教臭いことは苦手だ。何よりそろそろ溜まったクソどもを掃除しないとな。デビルハンター・ダンテの出番だぜ。
 あんたらも覚悟を決めな、こっから先はちょいとハードな戦いになるぜ。Let's Rock,Baby!

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