ACT25「分かれた魂」



 <彼>は夢を見ていたらしい。
 その夢の中で<彼>はどこかで見た事のある一人の女性の死に目を看取ったり、初めて手にした剣で迫り来る黒い敵を延々斬り続けたり、おぞましい三つ目を持つ巨大な影に向かって何かを誇示するように叫ぶのだが、その場所は歩き慣れた今は既にない我が家であった筈が、いつの間にか巨大な塔の頂上に変わり、瞬きする間にはこの世ならざる魔の河が流れる異空間へと行き着いていた。
 異なった剣が二つ、連続的に打ち合う剣戟の音がその空間に響いていた。
 片や、操る者の身の丈ほどもある鉄塊のような両刃の剣。対するのは、極限まで削り上げた細身に鋭利な片刃を備えた日本刀。相反する二本の刃はただ一つ共通して、その身に<魔>の力を宿している。
 その光景を見た者は、おそらく畏怖すると同時に困惑しただろう。
 そこに戦いの意思と殺意が荒れ狂っているにも関わらず、剣戟はまるで噛み合った歯車のように、あるいは澄み切った清流のように淀みなく続いていた。二つの存在のぶつかり合いが行われている最中で、そこに調和すら見出せてしまう、残酷で美しい光景ですらあった。
 剣戟の中心で舞う二つの人影。今まさに殺し合いをしている二人の姿にこそ、その原因があった。
 荒々しくも力強い動きで、両刃の剣を振るう赤い影。冷たく鋭い剣閃を走らせる、片刃の剣を振るう青い影。二人の姿は、顔も体格も一つの存在を二つに分けたかのように似通っていた。
 そして、そんな二人の振るう二つの太刀筋もまた噛み合う。その本質が同じものである事を表すように。
 そっくりの顔、そっくりの力。まるで鏡の向こうの自分を相手にしているような、膠着し続ける剣戟。
 それは一見、仲の良い兄弟喧嘩のようにも見えたが―――。
 一際大きな金属音の後に、二人の間合いは離れた。
『―――なあ、いい加減気づけよ。■■■■』
 赤い魔が言う。口にした名前を知っているはずなのに、<彼>はどうしても思い出せない。
 これが何時の事なのか。
 これが何処で起こった事なのか。
 そもそも、これは本当に自分の記憶なのか―――。
『力を手に入れても、父さんにはなれない』
『―――貴様は黙ってろ!』
 自分と同じ顔が放つ言葉に、自らを否定されるような強烈な不快感を感じて青い魔は斬りかかった。
 互いに振り被った剣は、相手の手のひらで受け止められる。刃が肉に食い込み、鮮血を噴き出しても、二人は相手の瞳を睨み付けたまま一歩も退こうとはしなかった。
『……っ、俺達が■■■■の息子なら、受け継ぐべきなのは力なんかじゃない。もっと大切な―――誇り高き魂だっ!!』
 何度も、何度も訴えた。その叫びの答えを知りながら、運命に抗う道化のように。
 血と共に二人が再び離れる。
『その魂が叫んでる―――』
 赤い魔は、まるで人間のように真っ直ぐな穢れない視線を、強い決意を宿して■■■■に向けた。
『あんたを止めろってな!!』
 慟哭にも似た叫びを嘲るような冷笑で受け流し、青い魔は自らの胸に手を添えた。
『……悪いが、俺の魂はこう言っている』
 掲げた手に、たった一つの意思を込め、固く握り締める。固く。
『―――I need more power(もっと力を)』
 ただそれだけ。
 本当に、■■■■にはそれだけが在った。
 もはや自分達が、どうあっても相容れぬものなのだと理解すると、赤と青の悪魔は静かに剣を構えた。
 もう誰にも、この戦いを止める事は出来ない。その時既に決まってしまったのだ。
 赤い魔の顔から笑みが消える。
 青い魔からも表情が消えた。
『ダァンテェェ―――ッ!!』
『バァァージル―――ッ!!』
 そして剣が交わる瞬間、全ての時間が逆戻りを始め、これが夢だと気付いて目覚めるのだ。








 それは丁度夕刻が過ぎた時間だった。
 日は落ち、深山町の中心に位置する交差点は地平線から名残惜しげに漏れる光と、点々と点き始めた街灯に薄く照らされている。人が往来する場所でありながら、墓場にも似た静寂に満ちるガランドウの空間が形成されていた。
 そう、静寂。人はもういない。日が落ちてまだ間もない時刻であると言うのに、人一人、車一台、新都へと通じるバスさえ、その空間を通る者はなかった。
 明らかな故意によって侵入者の排除された『隔離された交差点』に、一筋の紫煙が立ち昇っている。闇の中で映える紅蓮のコートに身を包んだ人影が一つ、民家の壁に背を預けて口に咥えた煙草の先に宿る小さな火種がその顔を暗闇に浮かび上がらせていた。
 一息吸って有毒な煙を肺に溜め込み、丁度煙草を半分まで灰にしたところで彼は煙を吐きながらそれを足元に投げ捨てた。あまりお気に召す味ではなかったのか、表情を僅かに歪め、忌々しそうにブーツで煙草の火を踏み消す。
「こんなもん、何が楽しくて吸ってんだ……?」
 理解できない、とばかりに首を振って、彼は時間を潰す為に興味本位で一本拝借した麗人の魔術師に小さく悪態を吐く。彼には理解できない味覚だった。
 肺に残った苦い不快感を全て吐き出すように大きく呼吸しながら、手持ち無沙汰に彼はその場をグルグルと足踏みする。その僅かな靴音だけが、静寂の満ちる空間に響き渡る。
 水を打ったような、とはこの事か。風の音さえなく、沈黙は痛みさえ感じる。
 まるで周囲に在るもの全てが、これから起こる何か恐ろしい出来事に対して息を潜めているような、文字通り嵐の前の静けさが漂っていた。
 怖いくらいの静寂は、やがて―――。
「……待たせすぎだぜ、兄弟」
 急激に密度を増した彼の―――ダンテの威圧感の向ける先から歩み寄る音の無い足音に破られた。
「寝不足を押してやって来たってのにな」
 その顔に、普段と変わらぬ不敵な笑みを刻んで、ダンテは視線の先にある暗闇を睨みつける。そこに、何の前触れも無く暗黒の波動と有機的な甲冑に身を包んだ<悪魔>が表れた。
 音も無く、気配も無く、幽鬼のように現れた虚ろな魔剣士。それはもちろん、ダンテが良く見知り、剣を交えて血と共に刻みあった、あのアサシンだった。
 ダンテと距離を空け、アサシンがそれまでの歩みを止めた。
 もう何度もそうであったように、二人の悪魔が対峙する。互いの目の前に立つ存在が、ずっと昔から決められていた宿命であるかのように。何度も。
「相変わらず辛気くせえ面だ。頼むからもう少し彩りってもんを付けてくれよ」
 異形の顔に刃のような鋭い獣の瞳を携えたアサシンを上から下まで一瞥し、ダンテは放たれる殺気など物ともせず軽口を叩く。彼と<アサシン>との因縁は、この聖杯戦争だけに始まった事ではない。身体を支配する緊張感に対して、奇妙な慣れすら感じていた。
 当然ながら、そのダンテの挑発染みた言葉に対してアサシンは何ら返す言葉もなく、ただ自らの大剣を構える事で全てに応える。
 身の丈を超える鉄塊がずるりと夜空に伸び、ボロの布のようなマントが蠢くようにはためいた。
「せっかちだね。まあ、いいさ。こっちも元々そのつもりだ。
 アンタが来るのはバゼットが予想してた。悪い魔法使いのジジイの目的は眠れるお姫様だろ? 奪いたきゃ、まずは門番の騎士を倒すんだな」
 それまでの沈黙を押し流すように、空を仰いで饒舌にダンテは語りかける。
 邪魔する者はいない。正真正銘の一対一だ。
「さあ、ショータイムだ。派手にいこうぜ?」
 ダンテは両手を広げて、鳴り響くはずのない開幕のベルを迎え入れた。これから踊る舞台を見渡すように、クルリと回る。
 振り返り、アサシンを見据える眼にもはや軽薄さは消え失せていた。
「観客がいないのが残念だけどな―――!!」
 牙を剥くような笑みを浮かべたまま身体を沈め、次の瞬間ダンテは背中の剣を抜き放って一直線に駆け出した。
 日没の時刻。遠く離れた森の古城で起こる戦いの裏側でも今、もう一つの決戦が始まったのだった。








「始まったな……」
 椅子のない和室の畳の上に落ち着かない腰を降ろし、壁に背を預けた状態でバゼットは低く呟いた。その言葉に応える者はいない。今はもう眠る者のいない空の布団が横たわる部屋で一人、彼女は窓から見える夜景を眺めていた。その先に、つい数刻前に目覚め、何かに誘われるようにしてこの場を発った真紅の魔剣士の戦う姿を幻視して。
 耳鳴りがする。
 血に染まった服。 硝煙の向こうに燃え果てる、異形の声。
 運命と皮肉に彩られた戦いを、ただ自分一人だけが傍観する。
 バゼットは封を解いたばかりの外国産の煙草を内ポケットから取り出した。一本だけ取り出された中身とその理由を思い出して苦笑すると、一本咥えてジッポで火をつける。この苦い煙を好んで吸うようになった起源はもう思い出せないが、それはたぶん今の気分のような時だったのだろう。
 扉を叩く音。開くと、見慣れた顔が覗いた。ライダーだ。霊体化して入って来ればいいものを、律儀だと微笑する。
「屋敷内に異常はありません」
「そうか。こちらはダンテとアサシンが結界内で戦闘を始めた。この隙にゾウケンが動く可能性がある、警戒は続けてくれ」
「はい、分かりました」
 淡々と事務的な会話が飛び交う。
 衰弱して未だ眠り続ける間桐桜を奪いに、間桐臓硯が動く。予想された事態だった。
 あの妖老にとって、桜が何か重要な鍵である事は確かだ。ならばこそ、彼女の身におぞましい蟲の魔術を施したのであり、それがキャスターの手によって完全に無力化された現状が臓硯にとって緊急事態以外の何ものかであるはずがない。
 そして桜奪還の為に臓硯とアサシンが動くとしたら、士郎達がアインツベルン城に向かい、衛宮邸に在住する戦力が半減した今この時以外に在り得なかった。
「よく、アサシンと遭遇できましたね」
 バゼットの返答を聞き、ライダーは一拍置いて素直な疑問を口にした。
 目覚めたダンテがアサシンを迎え撃つ為に飛び出して行ったのは見ていたが、徒労に終わるだろうと考えていた。こと奇襲において絶対的に有利な<気配遮断>のスキルを持つアサシンの動きを探知して迎え撃つなど、サーヴァントであっても難しい事だ。
 バゼットがあらかじめ人払いの結界を設置した交差点以外にも衛宮邸に続くルートは幾らでもある。ライダーは、アサシンの動きを読んで待ち伏せする事に成功したダンテの能力に、純粋な疑問を抱いていた。
 バゼットは思案の為か、あるいは躊躇いの為か、しばし沈黙した。
「……おそらく、彼らを引き合わせたのは血なのだろうな」
 他人事の筈なのに、自らが呟いた言葉は苦々しかった。意味深げな答えの続きを、ライダーは黙して待つ。
「魔剣士スパーダには二人の息子がいた。双子だったそうだ。悪魔と人の血を分け、更にそれは一人ではなく二人に別れた。弟の名は<ダンテ> 兄の名は<バージル>―――」
「あのアサシンが、そうであると?」
「コトミネはそう言っていた。奴は誤魔化しはするが、嘘は言わない」
「ですが、あれはあまりにも―――」
 人間の面影がなさ過ぎる。
 一度正面から対峙した事のあるライダーは、言葉の後半を心の内でだけ付け加えた。その容貌だけではなく、存在感や雰囲気、纏う瘴気など全ての要素を含めての結論だ。
「その辺の事情は、他人の家庭事情になるだろうから首を突っ込むのはやめておこう」
 首をもたげる重い疑念を振り払うように、バゼットは微笑を張り付かせて軽く首を振る。実際、当人達以外には知る必要のない情報だろう。
「伝説的に有名な存在とは言え、魔剣士スパーダとその周辺の情報には不明瞭な部分が多い。全てを知るのは本人達だけだ。
 バージルの事に関しては死亡したという記録も残っている。しかも時期のずれた二種類の記録が。
 幼少時に母親と共に何者かに殺害されたという件もあれば、数年前に魔界の門を開こうとして失敗し、その末に滅んだ元凶たる悪魔の名前が<バージル>と示された記録もある……」
 掴んだ霞の感触を確かめるような曖昧さで、バゼットは言葉を紡いだ。
「本当のところをダンテに確かめた事はない」
 ふうっ、と紫煙と共に吐き出して話を締めくくると、バゼットはほとんど根元まで灰になった煙草とそれを捨てる灰皿がそもそも無い事に気付いて苦笑した。バツの悪さをわずかに感じて、左腕の義手で火を握り潰し、吸殻を窓から捨てた。
「……だが、二人の因縁がこの聖杯戦争以前から続いている事はなんとなく分かる。
 スパーダの血を継ぐ、一人になるはずだった二人の息子が互いに違う道を選び、殺し合い、再び一人になろうとしている。文字通り血を分けた双子が、お互いを否定し合う。
 因果、宿命、皮肉―――それ以外に言える言葉などあるか?」
 宿命の戦い。そんなありふれた表現が、何よりも正しく彼らを表すものだとバゼットは理解していた。
 それがどれ程悲しい事であっても。







 月下、まるで死闘の幕を上げるようにアサシンの持つ巨大な剣が天高く振り上がり、そして次の瞬間すぐさま戦いの幕を下ろそうとするかのように刃が振り下ろされた。
 圧倒的質量が唸りを上げて落下し、それは剣と言うよりもハンマーや斧に似た攻撃性を持っていた。しかし鈍重さは無く、太刀筋はあくまで鋭く、速い。
 それをダンテが伸び上がるように掬い上げた一撃で迎撃する。その手に握られている剣は、当然ながら失われた魔剣アラストルではない。消滅した魔剣に代わって、一回り小ぶりな剣<フォースエッジ>が握られていた。
 最初の剣戟が響き、それが終わる間もなく次の金属的な激突音が薄暗い空間に響き渡った。
 今、住宅に囲まれた交差点は日常から切り離され、『夜の闇』という静かな群集に囲まれたコロシアムと化している。二人の剣闘士はその中心で死闘を激化させていた。
 どちらの剣さばきも非常に速く、その狂暴性も大差なかった。稲妻のように突き、身をかわし、斬りつける。攻撃と防衛が同時に、絶え間なく続いた。時折、激突する二人のパワーが火花となって具現化し、闇を切り裂いた。
 二人にとって、もう何度も確かめ合った事だが互いの剣技は同質ゆえに互角だった。
 舞台に上がる前にあらかじめ何度も稽古を重ねたような、歯車の噛み合うような奇妙な戦闘に発展する。もちろん、戦いの中で何も学ばぬほど二人は愚かではない。ダンテの剣技は相手から、あるいは異なる敵から学び、確実に強く、巧みになっている。ただうんざりする事にアサシンもまた並外れた学習能力によって新しい太刀筋を生み出しているのだ。
 ゆえに互角。その拮抗を崩すには、先の『肉を斬らせて骨も断たせる』ような常識を超えた覚悟と行動が必要だった。
 ―――だが、ここにこれまでとは違う一つの相違があった。
『……っ!!』
「―――っうお!?」
 先に相手の防御を崩したのはアサシンの方だった。声無き咆哮を放ち、得意の踏み込みから高速で薙ぎ払ってくる太刀筋を受け止めたダンテが体勢を崩した。
 舌打ちしながら返す刀を咄嗟に剣で受けたものの、両者は完全に鍔迫り合いの状態へと陥っていた。
(こ、こいつはやべえ……!)
 力と力が直にぶつかり合う。
 アサシンは巧みに上から押さえ込むような形で斬り結んでいる。ダンテはこの体勢が己にとって完璧に不利であることを、瞬時に悟らされた。この状態では自らのエモノである大剣の重さが逆に不利に働く。
「へっ、なかなかどうして! 心も自我も失くしちまったくせに、頭は回るじゃねえか……!」
 噛み合う二本の刃越しにアサシンの眼光を睨み返して吼えてみたものの、ダンテの声に普段の余裕は全くなくなっていた。
 その軽口を完全に無視して、アサシンは自らの殺気、闘気、魔力、瘴気、全てを剣と共にダンテに叩きつけて威圧する。そしてそれは物理的な力を持ってダンテの全身を圧迫した。
「ぐっ、クソ……ッ!」
 ギリギリと剣の拮抗が崩れ、ダンテの方へと傾き始めている。
 普段のような底力が出せない。叩きつけられるプレッシャーが全身に及ぶ傷を蝕み、新たな痛みを生み出してダンテの意思をことごとく削り取っていく。
 ―――最初から不利はダンテにあった。
 昨夜のアサシンとの死闘で受けたダメージを抱えたまま、ギルガメッシュとの連戦を行い、それを乗り越えたダンテの消耗は並外れたタフネスである彼の耐久力を持ってしても、その許容範囲を完全に超えていたのだ。ダンテは戦闘を始めてすぐに、自らの負ったダメージの深刻さを思い知った。
 悪魔の血を持つダンテの回復力は並外れているが、普通の人間ならとっくに墓の下にいるであろう重傷を半日で回復するには至らなかった。
 同じく重傷でありながら人間の士郎の方は数時間で回復し、意識を取り戻して動き回っているが、もちろんこれは生物としてどうかしている再生能力を持つ士郎の方が規格外なのであって、ある面ダンテよりも悪魔染みている。彼が知れば理不尽を思わずにはいられないことだ。
 何より、怪我だけではなくダンテは体力も魔力も消耗し尽していた。
 疲労を引き摺る体は重く、全身の痛みが熱を持ってそれがいよいよ脳まで犯し始めている。朦朧とし始める意識の一方で、背筋には酷い悪寒を感じる。体の何処もが不足と不調を訴えていた。
 反して、アサシンの体に刻まれた傷は完全に癒えている。エーテルで構成されたサーヴァントの肉体は、魔力さえあれば容易に修復が可能なのだ。
 そして、手に持つ武器の違いも、これまでと異なる展開を起こす要因だった。
 フォースエッジは決して質の劣る剣ではない。だが、自らが刃に魔力を宿すアラストルと比較すれば、使用者の魔力を攻撃に転化する能力しか持たないフォースエッジは武器としてそれ以上では足り得なかった。
 斬撃と共に叩きつけられるアサシンの魔力に対抗する為には、自らの内からその魔力を搾り出すしかない。根本的に、完全な<魔>であるアサシンと人間の血を持つが故に限界のあるダンテでは、スペックからして違う。その差を埋める武器の喪失は、致命的な戦力の低下を招いていた。
 全ての要素が、拮抗した戦いで最悪の展開を生み出してしまった。
「……っ! ヘイ、あまり調子に乗るなよ!?」
 それでもダンテは猛反撃を仕掛けた。心に滲み出る弱気を踏み砕き、誇り高い魂の叫びに従って。
 ダンテの右脚が空を蹴る。密着状態で持ち上がった膝がアサシンの脇腹を抉ろうとする寸前で、相手の腕が素早くガードに入った。アサシンの体は揺るぎもせず、完全に防御される。
 しかし、そこからがダンテの真骨頂だった。
 剣を支える腕が一本になり、圧迫される力が半減した一瞬の隙を突いてダンテも片手を離し、素早くコートの中に滑り込ませてそこから黒鉄の銃身を引き摺り出した。長い銃身を一瞬の淀みもなく繰り出し、アサシンの下腹に突き付ける。自然で手馴れた動作だった。
「ファック・ユー」
 ダンテは狼狽を映さぬアサシンの鉄面皮に悪戯っぽく笑いかけると、躊躇いなく引き金を引き絞った。
 轟雷の如き銃声が響く。銃口が火炎と散弾を吐き出した瞬間、アサシンは驚異的な反応速度で動いていた。横腹を削り取られながらも、拡散する射線から身体をずらす。そのまま普段の緩慢な動作を感じさせない脚捌きで、巧みにダンテの背後へと回り込もうとした。その流れるような動きは見事と賞賛されてしかるべきだろう。
 だが、ダンテだけはそれを捉えていた。幾度も繰り返した二人の戦いで刻んだ記憶の中に、その動きはしっかりとインプットされていたのだ。ゆえに、読めた。
 背後へ移動する気配を振り返りもせず、ショットガンの銃身を肩に担ぐようにして構え、そのまま発砲する。もちろん狙いなど付けられない。それで構わなかった。精密に狙わなくとも『数撃てば』当たる。
 剣を手放して伸びたもう片方の手が、素早く脇の下を潜って銃身を掴む。そして、そのままショットガンをヌンチャクのように振り回して四方八方に撃ちまくった。ダンテの周囲で無数の閃光と轟音が弾け、12番ゲージ00(ダブルオー)バックの凶悪な鉛玉を無作為にばら撒く。
 頭がイカれているとしか思えない射撃方法だったが、全方位に散弾をばら撒くその弾幕攻撃は、否応無しにアサシンを捉えていた。
 肉薄していた距離で、胸と肩に拡散する前の散弾が全て直撃して、砕かれた鎧の破片を撒き散らしながらアサシンは声にならぬ苦悶を漏らした。
「悪いね、こいつが俺のスタイルだ」
 よろめくアサシンに、それまでの劣勢を笑い飛ばすような軽口を返して、ダンテはこれ見よがしにクイックドロウのパフォーマンスを見せ付けてからショットガンをコートの内に納めた。
 その余裕の仕草を憎々しげに睨みつけ、アサシンがよろめいた姿勢のまま腕を伸ばす。ダンテは首筋に迫る手のひらを軽い身のこなしで避け―――。
「な……?」
 どんっ、と重い衝撃が体の中に潜り込むのを感じて、思わず間の抜けた声を漏らした。
 視線を落とす。視界には奇怪な光景。自分の胸元から何本も生え出た青白い幻影の刃を確認して、ダンテはようやく自分が背後から無数の剣に貫かれた事を理解した。
「ぐ……クソッ! しくじ、った……っ!」
 己の失態を悟ると同時に、痛みがその代償を払った。
 ダンテの体を貫いた剣はその名の如く幻影のように消え失せる。魔力によって構成されたかりそめの刃が消滅する様は、その攻撃方法がまさしく投影魔術に酷似したものである事を証明していたが、魔術の知識を持たない彼にはその答えは意味を持たない。ただ、ダンテが一つ自覚している事は、アサシンの持つ切り札を完全失念していた自身への罵倒と後悔だった。
 互いに大きなダメージを刻み合い、結果的に相打ちとなった二人は自らの足を叱咤してその場に踏ん張る。
 ダンテとしては全くの誤算だった。敵を崖から蹴落とした瞬間、自らも足を掴まれ引き摺り込まれたような気分だ。これで優位は消えてしまった。
 優位―――?
「…………はっ、優位だって?」
 ダンテは血で赤く濡れる口の端を持ち上げて、さも可笑しいと笑った。小賢しい己を嘲笑った。
 何が有利だ。どう動けば効率良くて、如何に安全か。どれだけ優位に持ち込めるか―――。いつから自分はそんな細かい計算を廻らせて、姑息に立ち回るようになったのか。
 そんなのは自分じゃない。
 そんな小細工は、『コイツ』相手に何の意味もない。
 考え無しに勝てる程甘い相手ではないが、考えて勝てるような容易い敵ではない。その矛盾を含む厄介極まりない<敵>である事は、これまでの戦いで身に染みて分かっている筈だ。
 それが宿命。忌わしい、どれだけ逃れようと、どれだけ打ち破ろうと付いて回る魔の血の<宿命>だ。
『……ッォオ■■■ォ■オオ■■ッ!!』
 先にダメージから立ち直ったのはアサシンの方だった。
 傷を負って尚魔力を酷使した身でありながら、それでも人間を凌駕する力と意思を烈光のように炸裂させて、巨大な剣を振り上げる。それは断頭台の鎌を何度となく連想させた姿だ。
 ダンテは足元の剣を拾い上げようとした。だが、すぐに悟る。間に合わない。貫かれた胸の傷から血と一緒に、絶望に抗う力全てが流れ出てしまうような脱力感に襲われていく。
 目の前の剣を、抵抗せずに受ければ楽になれる。ああ、だから。
 弱い考えよ―――失せな。
 腰抜けな自分よ―――クソ食らえ。
 襲い掛かる、ありとあらゆる理不尽にファック・ユー! ―――それが俺のスタイル。
 ダンテの瞳に力が戻った。その身に劇的な力が漲ったわけでも、衰えた魔力が全回復したわけではない。しかし、彼は取り戻した。戦いに最も必要なパーツを。
「おぁあああ―――っ!!」
 振り下ろされる、全てを断絶する鋼の一撃に向かって、ダンテは一片の躊躇もなく両手を伸ばした。






 全てが停止した。恐ろしい唸り声を上げて空気を切り裂き、振り切られた、壮絶な斬撃という嵐の後に訪れた静寂が夜の闇を満たす。
 銀色の毛が数本、暗闇に溶け込むようにして散っていく。
「……ふっ、くくく……っ」
 噛み締めた歯の隙間から、堪えきらない笑いが漏れた。堪らない愉悦を含んだ声色だ。
「ははっ、は! あっははははははははっ!!!」
 血反吐を撒き散らしながら、ダンテは哄笑する。
 獣のような笑みを刻んだ彼の眼前、ほんの数センチ先の位置で、彼の頭蓋と脊髄を真っ二つに唐竹割りにする筈だった巨大な悪魔の剣が停止していた。
 その分厚い刀身を炎の篭手に包まれたダンテの両手にしっかりと挟まれた状態で。
『―――ッ!!?』
 驚愕。そのたった一つの明確な感情が、これまで鉄で塗り固められていたアサシンにはっきりと表れ出ていた。それを見て、よりいっそう愉快そうにダンテの肩が揺れる。
「やってみるもんだなあ……えぇ、オイ!?」
 最高の悪戯が成功した子供のような笑顔で、ダンテは自身も冷めやらぬ驚きと興奮のままアサシンの鉄面皮を睨み付けた。
 真剣白刃取り―――。ダンテが体現しているのは、まさにそれだった。
 いかなる種類であれ、刃物の弱点は側面にある。どれだけ鋭い刃を持っていようと、横から見ればただの金属の板切れでしかない。横からなら、はたいてかわす事も、挟み込んで止める事も容易い。
 だが、それがただの理屈でしかない事も事実だ。正面から向かい合えば、斬撃は最も面積の少ない<線>の攻撃であり、達人が放つ剣の速さを視認する事は至難の業だ。『真剣白刃取り』なんて時代錯誤な日本の神秘は、B級アクション映画の中だけ、話のネタで充分だとダンテは思っていた。
 だからこそ、笑うしかない。この馬鹿げた奇跡を成功させた自分自身を、誇るよりも自負するよりも先に、もう笑うしかない。
 あの一瞬、自分は少しも疑わなかった。これまで何度もこの身に刻んだ死神の一撃を、一瞬の迷いも躊躇もなく、素手で掴み取ってやると信じて疑わなかったのだ―――!
 ギリギリと渾身の力を込めてアサシンが剣を押し込む。しかし一度勢いを失った剣は、魔人の力が宿った両腕に抑え込まれてピクリとも動かない。イフリートの篭手が与える加護は、攻撃力を重視したものだ。今のダンテのパワーはアサシンのそれを凌駕していた。
 ダンテが笑いを止める。剣を間に挟み、額を突き合わせんばかりに顔を近づけてアサシンに囁いた。
「じゃあ、いくぜ? 地獄送りのフルコースだ、歯ぁ食い縛れ!」
 軽い口調で死の宣告を告げた、次の瞬間アサシンの鳩尾にダンテの蹴りがめり込んでいた。イフリートの魔力によって強化されたキックが火炎の残滓を残して直撃し、小規模な爆発にも似た衝撃を刻み込む。インパクト部分から黒い煙を上げ、アサシンは足を踏ん張った状態で後退った。
 だが、それは嵐の始まりでしかない。
 強制的に間合いが開いた瞬間、ダンテは次弾を込めた右拳を腰溜めに据えた。そのまま一気に畳み込むべく、残された全魔力を篭手に注ぎ込む。
 爆炎のような魔力の奔流がダンテの体を包むと同時に、イフリートの力を憑依させた異形の<魔人>が其処に出現した。
『ォ■■■ォオ゛オ■オ■■■ーーーッ!!』
 魔人が吼える。
 そこからはもう、滅茶苦茶だった。
 右拳が砲弾のように飛び出して、アサシンの顔面を弾き飛ばすとほとんど同時に、左のアッパーが抉り込むように横腹へ吸い込まれる。火達磨になる標的に対して左右の蹴りが流れるように決まった。両手は無防備にぶら下がり、もう完全に死に体となった敵に向かってダメ押しとばかりに掬い上げるような蹴りが炸裂する。
 これらの攻撃は全て流れるような一連の動きであり、猛り狂った火炎を纏うデタラメな打撃の嵐だった。
「はぁっ、はぁ……っ!」
 人間の姿に戻ったダンテが荒く息を吐く。隠し切れぬ疲労が表れていた。
 本来、周囲のマナを吸収して蓄える魔具である篭手に対して、一瞬の爆発力を得る為とはいえ自分の魔力を与えたのだ。魔力の流れは一方通行、消耗など半端ではない。
 これまで蓄積した疲労も重なり、今のダンテは欠片の余力さえ残さず消耗し尽くしていた。
 しかし、それでもまだ戦いは終わっていなかった。鎧は砕かれ、未だイフリートの残り火に体の所々を焼かれた満身創痍の状態でありながら、アサシンはまだ倒れてはいなかった。
「ったく、アンタ……マジでガッツありすぎだぜ……っ」
 半ば呆れた顔でため息を吐き、しかしすぐさま表情を引き締めると、ダンテはふらつくアサシンの両肩を素早く掴んだ。
「もうジャブ一発打つ力も残っちゃいないが……コイツは最後にかます屁みたいなもんだ。受け取ってくれ」
 ぜん息のように息切れする喉を叱咤して声を絞り出し、アサシンの瞳を覗き込みながらダンテはニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。
 そして、一言告げる。それはアサシンに対してではなく、自らの両腕に宿る魔霊に対して。
「―――契約・解除」
 そのたった一言が、ダンテとイフリートの間にあった全ての繋がりを一方的に断った。
 ドンッ、という炸裂音と共にダンテの両腕が正真正銘燃え上がる。彼の告げた一言が意味する、完全な決別。自らを御する主を失った篭手は、その身を魔の炎と化して荒れ狂った。
 この炎こそが、生きる武器と化したイフリートの本当の、魂の姿なのだろう。
 自身の制御を離れたイフリートの暴走に巻き込まれぬよう、ダンテが残った力を振り絞ってその場から跳び退る。かつて篭手という形を取っていた炎から腕を引き抜く瞬間、二の腕の先の神経を全て引き摺り出されるような不快な痛みを味わったが、完全に手が離れた時、もう両腕にはイフリートの力の残滓さえ残されてはいなかった。
「行け、新しいご主人様は目の前にいるぜ! 地獄まで付き合ってくれるとよ―――!!」
 ダンテの叫びに命令としての強制力はもはや無いが、闘争を求める魔具<イフリート>は己の本能に従い、結果的に彼の思惑通り、一番身近にいた者を依り代の対象と捉えた。
 ―――すなわち、アサシンへ取り憑く事に決めたのだ。
 生きた炎は蛇のように蠢き、アサシンの全身を取り囲むと、すぐさま収束して両腕に集い始めた。
 イフリートはその身を再び武器へと変化させ、新たな主に炎の加護を与える。
 だがその前に、魂を持つ魔具は所有者が真に自らの主に足るか試練を課すのだ。その試練に肉体と自我が打ち勝たねば、魔具の力はそのまま所有者を滅ぼす。それこそが、魔具が人間には扱えないおぞましい『呪いの武具』と呼ばれるに足る由縁なのである。
 そして、アサシンの場合も例外などなく、イフリートは厳かに試練を与えた。
『我が身を繰るものならば、地獄の業火をその身をもって知れ―――!』
 篭手を中心にして豪炎が荒れ狂う。従えれば強力な威力を持った武器となるこの炎も、今は所有者の身を焦がす魔性の火でしかない。
 自らを包み込む地獄の業火に、アサシンは声無き絶叫を上げて悶え苦しんだ。傷ついた体を炎は容赦なく焼き続ける。
 だが、その<試練>が終了する事など無い。
 悪魔であるアサシンの肉体は当然ながら、魔具を振るう負担にも耐え得るものだ。しかし、イフリートを制御する為の<意思>が、アサシンには欠落していた。自我無く、虚ろな本能のまま臓硯に従い続けてきたアサシンに自立的な思考はない。故に、イフリートの炎は制御される事無く延々と彼の肉体を焼き続ける。その身を構成するエーテルが全て灰となって消滅するまで。
『■■■ァ■■アア■■■■ァ゛ーーーッ!!』
 苦悶の声はただの悲鳴へと変わっていく。真っ赤な炎に全身を包まれ、生きる火柱となって蠢くアサシンを一瞥して、ダンテは静かに背を向けた。
 言葉はない。勝利への陶酔や余韻も、想う事など何も無い。ただ空しさだけが残った。
 手のひらに視線を落とす。開いた手の中に、残るものは何も無い。あの男との戦いは、いつもそうだ。残るモノなど何も無い。それなのに、宿命という奴は飽きる事無くソレを繰り返させる。
 願わくば、これが最後であれ、と―――。
「眠ってくれ。安らかに……」
 徐々に掻き消えていく、断末魔の声に振り返らず小さく呟く。
 ダンテは疲れた仕草で地面に転がったフォースエッジを拾い上げると、そのまま重い足取りでこの場を立ち去ろうとした。






 ―――そして二、三歩も進まぬ内に、背後で収束し始めるイフリートの魔力を感じ取った。






「な、何……っ!?」
 そう、それは収束だった。あらゆる制御から解き放たれて荒れ狂っていた炎が、いつの間にか一つの規則性を持って、螺旋を描きながら炎の中心一点へと収束し始めていた。
 その現象が示す事実など、一つしかない。
 驚愕に固まるダンテの目の前で、地獄の業火は徐々に収まっていく。それは鎮火などではなく、新たな主を得て、指向性を持った暴力へと変化していく過程だった。
 炎の中心に、それまで業火に身を焼かれていた漆黒の魔剣士の姿はない。その代わりに、揺らめく紅い壁を隔てた向こうに一つの人影が確認できた。
 ダンテは眼を剥いてその影を凝視する。
 炎が空気を焼く唸り声は徐々に掻き消え、ゆっくりと地面を踏みしめるブーツの足音が緊迫した空間に響くのが聞こえた。闇に紛れる暗殺者としての特性を、ただ本能的になぞるアサシンならば、わざわざ自らの存在を誇示するような足音を立てる筈がない。
 だから、その足音の正体はアサシンでは有り得なかった。
「お前は―――」
 震える口から、無意識に擦れた声が漏れた。
 夜の闇を暁に染める炎の中から、両腕に炎の魔人を宿した一人の男が姿を現す。炎が巻き起こす風に、ボロボロのマントではなく蒼い外套の裾をたなびかせて。左手にはあの鉄塊のような大剣ではなく、細身の刀身を鞘に収めた長刀を持った―――。
 その男は、ダンテと同じ銀細工のような髪を天に向けてかき上げ、同じ顔に宿す同じ瞳で彼を見据えた。
「…………<バージル>」
 信じられないといった心境で、しかしダンテは完全な確信を持って目の前の<アサシン>であった者の真名を呟いた。
 その呟きを聞き取り、目の前の、自分と同じ姿をした蒼い悪魔が微笑を浮かべる。それはあの黒い魔剣士の虚ろな自我を映す無の表情ではなく、はっきりとした意思と感情を含んだ笑みの形だった。
 故に、彼はもはや自我無き<アサシン>足り得ない。
 彼はスパーダの血を受け継ぐ、もう一人の息子。蒼い魔剣士<バージル>に他ならないのだ。
「……久しぶりだな、<ダンテ>」
 呆然とするダンテに向けて、淀みない言葉が掛けられる。
 恐怖でも驚きでもなく、懐かしさが胸を占める奇妙な状態のまま固まっていたダンテは、次の瞬間バージルが刀の柄を握り締める姿を捉えてようやく我に返った。
「感動の再会と言うらしい……こういうのをな」
 皮肉交じりの笑みを形作り、腰溜めに構えた刀を引き抜く抜刀の構えを取る。ひどく静かで、鋭すぎる殺気は、あの巨大な剣を力のままに振り回していた時よりもはるかに死を近しく連想させた。
 理性ある殺意は何よりも恐ろしい。
 蛇に睨まれた蛙のように、向けられる眼光に射抜かれて動けないダンテは必死で自らの意思を固まった全身に走らせる。
 弾けるようにして動いた腕が、フォースエッジのグリップを握り締めた。瞬間。












「―――だが、死ね」
 まさしく<閃光>としか称せぬ踏み込みと抜刀の速度を伴って、バージルの斬撃がダンテに襲い掛かった―――。













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